これから漫画家は、ネットで勝負しなければならない事は当然ご存知かと思います。ですので、今回はネットからヒットするために必要な事を紹介します。
と、その前に漫画との出会いの場が紙からネットにシフトしていく件について説明しておきます。
Amazonで公開している漫画から考える流通経路
Amazonで連載している面白い漫画から流通経路の重要性を認識する事がありました。そのキッカケが「STEVES」という漫画です。
これは、スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックがAppleの礎を作った当初から、成り上がっていくまでを描いた漫画です。なお作品はうめ(小沢高広・妹尾朝子)氏、松永肇一氏による共作。
この漫画のスゴい所は無料で読めてしまうという所です。連載形式なので、1話ずつ公開されていますが、十分読み応えがあって次を読みたくなってしまうくらい面白いです。
参照:斬新!Amazonでの連載漫画「STEVES」の先進的なスタイルが参考になる
こうした事例のように、今後は「集客力の高い場所(Amazonやnote、パブー)に作品を提供していく必要があるでしょう。個人漫画家なら、尚更です。
【補足】うめについて
うめさんは二人組漫画家で、大東京トイボックスなどの作品も世に出している売れっ子漫画家です。
さらに、「STEVES」自体も小学館「ビッグコミックスペリオール」にて連載されているメジャー作品です。なお、2013年から電子出版プラットフォーム「パブー」にて作品を公開するなど、Webでのイケてる取り組みが目立つクリエイターです。
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今後の漫画家の販路はネットになる
今後、ユーザーから作品を知ってもらうための場所は間違いなくネットに移っていきます。それは、以下の理由考えれば明らかです。
1. 紙のコミック誌の売り上げ低下
2. 立ち読みしづらくなった環境
3. 漫画アプリの台頭(漫画のスマホ最適化)
では、1つずつ説明していきます。
1. 紙のコミック誌の売り上げ低下
まずは、紙から新しい漫画と出会う機会が減少している事から。紙のコミック誌はピークだった1995年を境に、年々減少しており2012年にはピーク時の半分ほどの売り上げになってしまいました。
参照:出版物の3冊に1冊を占めるけど……危機を迎える日本のマンガ(
紙の売り上げ減少は感覚的には、分かっていたのですが、数字で見るとこれほどまでに下がっているのです。
2. 立ち読みしづらくなった環境
最近は、コンビニや書店でコミック始の立ち読みがしづらくなっています。
以前だと、コンビニや書店で雑誌を読んで作品を知り、漫画の単行本を買うという流れがあったのですが、最近は紐で縛って立ち読みできないようにする店が増え、作品を知る機会が減ってしまいました。
現に僕は、紙によって新しい漫画作品を知る事はなくなりました。
3. 漫画アプリの台頭(漫画のスマホ最適化)
紙による、漫画との出会いが減ったことはこれまで説明してきましたので、これからは出会いの場がネットに移っていく話をします。
ネットでユーザーが新しい漫画と出会える媒体の代表例が「マンガボックス」や「comico」などの漫画アプリです。
comicoとマンガボックスはどちらも500万人以上に利用されるヒットアプリとなっています。実際、comicoで人気を博したReLIFEという漫画は出版が決まり、大ヒットになっています(累計16万部突破)。
参照:ReLIFE待望の単行本化!│comico(コミコ) – 無料のスクロール型Web漫画
Amazonでは売り切れが出るほどです(2014年9月18日現在)。
このようにしてネットで作品を提供してヒットし、単行本としても成功を収める事例が出てきています。
さらに、前回紹介したnote公開漫画「岡崎に捧ぐ」もネットに無料公開して人気を博しています。
参照:懐かしいなぁ。山本さほさんの漫画「岡崎に捧ぐ」で思い出す小中学生だったあの頃
今後は、こうしたスタイルが主流になっていくでしょう。
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ネットで公開して人気を博すために知っておきたいこと
紹介してきたように、これからは漫画との出会いの場が紙(コミック誌)からネットに移っていきます。
それを踏まえた上で、認識しておきたいことがあります。それは紙と同じやり方をしてもネットでは売れない、紙とネットでは売れるためにやり方を変える必要があるということです。
ネットで人気を博すには「ソーシャルでバズるか」という視点が必要です。ソーシャルウケが重要なのは数々の漫画以外の事例からも分かる通りです(学年ビリのギャルが〜もソーシャルウケして出版の流れでしたね)。
現にRelifeはソーシャルでの拡散力が物凄いです。
ですので、作品本来の良さだけでなく「シェアしてもらえる要素を持っているか」という視点が重要です。
さらに、もう1つ重要なのが、Webなりのサイズを考える事です。これまで紹介してきたRelifeやnoteは紙のコミック連載誌よりも短めのサイズです。それは、ネットではつまみ読みされることを想定しているからでしょう。
参照:「ノンリニア」から考えたWebでウケる文章と読み手のわがままな姿勢 → 田端 信太郎著「MEDIA MAKERS」
ネットで漫画を読むユーザーはスマホで隙間時間に利用する方々で、書店・コンビニの立ち読み客のようにある程度時間をつぶしたいから読む層とは異なります。
つまみ読みされる前提で、長さも設計していく必要があります。
ですので、ネットで漫画を公開してヒットさせようと思うなら「ソーシャル」「つまみ読み前提のサイズ」の2点を意識して作ってみましょう。
それが現在のネット漫画が売れるテンプレだと思いますので。
試してみて下さい。
ではまた!