Webの書き手として必ず意識すべきことがあります。それは「読み手は文章をつまみ読みする」ということです。
これを意識できなければ、Webでウケる文章は書けないでしょう。
Webの文章はノンリニアなコンテンツ
前回も紹介した田端さんの「MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体」で面白い概念を知ったので紹介します。
参照:「ストック・フロー」の概念を理解すればブログのアクセスを伸ばせそう
みなさんはコンテンツの分類で「リニア・ノンリニア」という概念があることをご存知でしょうか。
田端さんによると、以下のように定義できるそうです。
「リニア」なコンテンツとは何か、から説明しましょう。リニアとは線形のことです。メディア・コンテンツの消費に即して言えば、リニアなコンテンツとは、初めから終わりまで一直線に連続した形で見てもらえることを想定したコンテンツのことになります。
最も「リニア」なコンテンツ形態の典型が映画です。映画は、これ以上は考えられない! というくらいに「リニア」志向に振り切られたコンテンツの形態です。
この映画が持つリニア性、さらには「特権」について把握することが、「リニア」なコンテンツとは何かを理解するうえで、良い補助線になると思います
ノンリニアなコンテンツの特徴とは何かと言えば、リニアの逆です。
つまり、制作者ではなく、読者側に時間軸のコントロールが委ねられており、最初から見なくてもいいし、どこからどう見ても成り立つように断片化されてバラバラになっているコンテンツということになります。
具体的には、「広辞苑」のような辞書や事典、カタログなどの類がノンリニアなコンテンツの典型です
リニアなコンテンツは読み手に最初から最後まで連続して見てもらえて、ノンリニアなコンテンツは一部だけつまんで見られるコンテンツというわけです。
そして、今回注目したいのが「ノンリニアなコンテンツ」なのです。というのも「ノンリニアなコンテンツ」こそまさに、Webの文章そのものだからです。
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Webの文章はつまみ読みされること前提で書く
Webの文章ってホントに断片的にしか読まれてないんですよね。特にスマホが普及しだしてからは、特にです。
日本人は海外に比べてサイト滞在時間が低いというGoogleのデータも出てますから(Googleの方はまとめサイトが多いからと分析していた)、それほど要所のみをつまんで読みたがる人が多いんですよ。
参照:【レポート】AdSense Partner Summitに行ってきた!ユーザーに焦点を絞れーー!!
さらに、先日話題になったnarumiさんの言葉でも、それを痛感しました。
ブログに文字って必要?画像とタイトルだけみてなんとなくわかってる人は多いと思う。ウェブライターの文章力が無いという記事があったが、どうでもいいことしか指摘していなかった。文章の旨さは問われない。キレイな文章を書きたいのでは無く意図を伝えたい。文字さえ不要
引用元:「本当に文字って必要ですか?」メディア出身の人気ブロガーが語る「今の時代に読ませる」ための全て #ブロフェス2014
「画像とタイトルだけみてなんとなくわかってる人」というのは非常に多いと思うんですよね。実際、こんな記事も話題になりました。
わたしたちが友人たちと記事をシェアしようと思うには、要約にざっと目を通すだけで十分で、深い掘り下げなどなくていいのだ。
つまり、これからは読み手の心を動かしてシェアされるためには、ざっと目を通しただけで何となくわかり「シェアしたときに添えたらかっこいいだろうな」と思える言葉を散りばめていくことが必要なのです。
参照:ネットでウケる文章とM-1でウケる4分漫才に共通した2つの法則
読み手がつまみ食いしていることは間違いないので、上記の書き方は必要です。こういうことを言うと、「Webの文章は紙と比べると劣っている」と語る人が出てくると思うんですけど、そんなの関係ないんですよ。
だって、読み手がそういった文章を求めてるんですから。
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どの時代もユーザーに最適化したものが生き残ってきた
書き手が「紙と比べてどうたら。綺麗な文章を。」なんてことを語ってもしょうがないんです。大事なのは、ユーザーが快適かどうかなんです。
そうやってユーザーのことを考えられないと、音楽業界で起きた転換期に対応できなかった人たちのようになってしまいます。以下は「MEDIA MAKERS」の中で紹介されていた事例です。
アナログ盤時代には、一度、針を落としたら後は「腰を落ち着けてじっくり聞く」しかなかった音楽リスニングのスタイルが、音源がCDになることで「リモコン片手に、自分の聞きたいところだけを、つまみ食いするように聞く」というスタイルに変化してしまったのです。
リモコンで、アルバムに収められた曲をスキップして頭出ししながら聞いていくときには、サビが曲の頭に来ていないと、「CMで(サビを)聞いたアノ曲はどれだっけ?」というように、聞き手にとっては非常に面倒です。
それゆえに、CD内に付けられた索引インデックスのように、サビがド頭に来る曲構成が非常に一般的になりました。
音楽を聴くためのツールがアナログ盤からCDへ移った時、「音楽はこう聴くべきなんだ!」とアナログ盤にこだわった人たちは憂き目を見たことでしょう。
こうした事態が今、Webでも起きているのです。
アナログ盤からCDへの変化に象徴される、ユーザー主権的なノンリニア化(つまり、前後の文脈に関係なく、コンテンツの受け手がコンテンツ内を自由かつ瞬時にスキップして移動すること)は、今のあらゆるメディア消費の変化の底流にあるものです
そして、この変化(ユーザーのつまみ読み)に対応できないWebの書き手はアナログ盤にこだわった人たちと同じ状況になってしまうでしょう。
プロの料理人ならば、店は汚くても、立地は悪くても「うまい料理を丹精込めて作ればイイ」と居直る人はまずいません。お客さんが「どんな席でどのように食べられるか」に必ず注意を払います。
それと同じように、メディアの作り手もプロとして、どのような技術環境を通じて、どのようなTPOで(例えば、通勤電車の中? 寝る前に個室で? 会社のデスクで? )、自分の作っている、関わっているメディアが利用され、消費されているのか、今後されていくようになるのか? に最大限の注意を払い続けるべきだと私は思っています。
物理的に目に見える「カウンターの椅子」と違って、デバイス環境がめまぐるしく変化する現状のメディア業界においては、そういう気構えを強く持っていないと、いつのまにか、時代に追いていかれた「路地裏の店」になってしまいかねませんから
田端さんも語るように、読み手が今どんなスタイルで文章を読んでいるかを考え、それに対応していかなければならないのです。
読み手のスタイルに対応していくには?
読み手のスタイルを知り、時代に適した文章を書く際はサイボウズ式で活躍する藤村さんのツイートが参考になるでしょう。
いい記事書かなきゃ、というのがそもそも違っていて、伝わるためにはどんな伝え方が良いか、ということから考え始めないといけない。伝わったものがいい記事であって、伝わらなければ文章がいくら優れていても力不足。
— fzm (@saicolobe) 2014, 8月 23
読んでもらえない、流し読みで終わることを前提にしたWebコンテンツの作り方という視点、すんげーだいじ。読まれる、読んでもらえるという認識だと、永久に読まれるコンテンツは作れない。
— fzm (@saicolobe) 2014, 8月 23
作り手は思い入れがあるから、いい記事を作りたいと思う。手間暇を掛けて記事を書くし、編集もする。それは大事だけど、一方で読み手はそんなことしったこっちゃない。読みたいものが読みたいの。ここの意識の違いに気づいていないと、コンテンツを作るのがだんだん億劫にもなる。
— fzm (@saicolobe) 2014, 8月 23
独自のコンテンツを作ろう。人の数だけ、独自は作れるはず。伝えたいことを、伝わることに変換しよう。自己満足を捨て、他者満足を追求しよう。違う世界の作法にこだわらず、Webやスマホの世界の作法を知ろう。
— fzm (@saicolobe) 2014, 8月 23
つまり、「伝え方」「流し読み前提」「読み手は書き手の状況なんか知らんがな」「Webやスマホの作法」の4点を意識することが重要というわけです。
そこに僕は「シェアする際に引用してドヤ感を示せる言葉を盛り込むこと」も付け加えておきます。
ブログでも
①流し読みされること前提
②読み手は書き手の思い入れなんて知らんがな
③シェア時に引用したいフレーズの用意
を意識するの超重要Webでウケる文章と読み手のわがままな姿勢 → 田端 信太郎著「MEDIA MAKERS」 https://t.co/k8iiEQG974
— タクスズキ@プロブロガー (@TwinTKchan) 2017年8月2日
これら5つが、Webでウケる文章を書くためのヒントになります。この事を意識しながら読み手の心を動かすWebコンテンツを作っていきましょう。
ではまた!(提供:らふらく(@TwinTKchan))
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