こんにちは。タクスズキ(@TwinTKchan)です。
Kindle Unlimited(電子書籍の読み放題)が話題なので、触れてみます。これから求められる電子コンテンツと、それを作る編集者像に関するお話です。
これからの編集者は、コンテンツが単品課金でなく、読み放題で読まれることを想定してモノづくりしていなかいとヤバいでしょうね。
月額980円で12万冊以上の電子書籍が読み放題!
一応説明しておくと、Kindle Unlimitedとは、月額980円で12万冊以上の本、コミック、雑誌(電子)が読み放題になるというもの。
しかも、名作が結構そろってます。
AmazonのUnlimitedすごいな。。水野敬也さんの名作が全て読み放題。漫画のインベスターZも全巻読み放題で、大丈夫なの?って心配になるレベル。
こんまりさんの片付けの本とかもあって衝撃受けまくり。 pic.twitter.com/Gyr0I3tqLL— タクスズキ@プロブロガー (@TwinTKchan) 2016年8月3日
このサービス、読み手としては嬉しいんですが、作家の立場からすると非常に残酷なサービス。
今まで有料で単品を買ってもらっていたのに、それがほぼ無料で読まれちゃうわけですからね。印税モデルが崩れることも考えられるわけですよ。
ただし、Amazonもそこまで鬼じゃないので、読み放題に登録されている作品にはちゃんと収益を配分してくれます。
その配分の仕方というのが、読まれたページに応じるというもの。ざっくり言うと、NAVERまとめに似ている配分方法なのです。
Kindle Unlimited開始でKDP(電子出版)冬の時代が到来? 出版社が優遇され過ぎ https://t.co/wfen3e9Ahb
出版社の作品は冒頭ちょろっと試し読みしてもらえば満額支払われるが、KDP作品は厳密かつ冷徹に「読まれたページ数」で計算される。
— タクスズキ@プロブロガー (@TwinTKchan) 2016年8月7日
なので、これからはダウンロードされることに加えて、最後まで読まれることが必要になっていくわけです。
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1ページあたりの収益は0.6円
ちなみに、1ページあたりの収益は0.6円とのこと。100ページ読まれたら60円。
100ページの本をKDPで500円で出しているとして、その印税は350円ですから、作家としては涙目な数字。
Kindle unlimitedのビジネスモデルの盲点を突いた詐欺行為が面白い https://t.co/SBMYzAJCL4
いろんな記事を読む限り、1ページあたり0.6円支払われると考えてよさそう。 pic.twitter.com/UMKC64vSmw
— タクスズキ@プロブロガー (@TwinTKchan) 2016年8月7日
こうした流れからわかるように、今後、電子書籍を出す際はWebメディアのようにPV(閲覧数)を増やせるような編集(工夫)をしなければいけないわけです。
「収益の半額を電子書籍の利用量に応じて出版社に支払う」が本当なら、99円で短めの本を量産して閲覧数を増やせば、現行の出版より儲かるんじゃない?
アマゾン、電子書籍の「読み放題」開始? 出版界は音楽業界の「二の舞」か https://t.co/F2pg7hauj9
— タクスズキ@プロブロガー (@TwinTKchan) 2016年7月15日
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最後まで読んでもらえるような編集とは?
では、その編集とは何か?
まず考えられるのが、肝心な部分、オチを限りなく引っ張ることです。まさにテレビ番組のCMまたぎのように。
それを体現しやすいのが、推理小説。これは、オチが肝なわけでそこを読まないと楽しめませんからね。元・Microsoftの成毛さんもこんな風に語ってます。
成毛:可能性としては、小説は全部電子書籍に変わってもおかしくないかもしれない、とは思う。
とりわけ、時代小説とか推理小説については、電子化することで売り方が変わる気がしていて。例えば推理小説、全体の8割はタダで読んでもらっていいんじゃないの?と思うわけ(笑)。
成毛: だって推理小説は犯人がわかるところが面白いいわけで、それなしでは完結しないでしょ?だから8割はタダで読ませても、面白かったら残りのラスト2割を読むために読者は買ってくれる。
そうした意味で、売り方が変わるし、そこに何かチャンスがある気もする。
参照:推理小説(電子版)は8割タダでいい by『ネットがつながらなかったので仕方なく本を1000冊読んで考えた』|タクスズキ【noteマガジン好評発売中】|note
このような「後半まで引っ張る」という手法をビジネス書に応用するのであれば、「ネットで稼ぐ方法を紹介します」と前半で煽って、大事なことはあんまり書かずにダラダラ文章を書いていって、最後に「実はこれがノウハウでした!」みたいな感じになるでしょう。
ユーザー体験としては、微妙ですが、商業を考えるならこうしたやり方が主流になりそうです。
また、推理小説意外だと、写真集など写真がメインとなるコンテンツも読了ページ数を稼げそうです。
Kindle Unlimitedが読まれたページ数に応じた収益配分なら、webメディアのPVと同じでページ分割文化が生まれると思われ。あと、写真集とか写真で1ページを占められるジャンルは有利。あと、推理小説とかオチが肝の分野はあえて読み放題で出しちゃってもいいのかもね。
— タクスズキ@プロブロガー (@TwinTKchan) 2016年8月3日
このように、いかにページをめくってもらえるか?を考えられる編集者がこれからの時代に求められるようになります。
今までの本は長すぎた
あとは、コンテンツのリサイクルができる編集者も重宝されていくでしょう。キュレーション能力を持った人ですね。
出版社が既に出てる本の要点をキュレーションして、noteで売るというのはありだと思う。やはり、本というのは長すぎるので、端的にまとまってる方が読みやすい。同額でも売れるんじゃないかな。定額読み放題のフライヤーに流すよりは絶対こっちの方が良い。章ごとにバラ売りするのも需要ありそう。
— タクスズキ@プロブロガー (@TwinTKchan) 2016年2月18日
実際、既存の本て長すぎですしね。
「本は文字数多すぎ。3万文字で十分。iPhoneのカメラロールのスピードで読める本しか生き残らない」
宇野常寛 後編「Wikipediaと本の中間のコンテンツが、いま求められている」 | メディアビジネスの未来 https://t.co/uKCh7gAOVc
— タクスズキ@プロブロガー (@TwinTKchan) 2016年4月21日
時代に合ったフォーマットで作品を出せる編集者は、5年後にモテモテになってるでしょう。
電子書籍読み放題には希望も
紹介してきたように、今後コンテンツは限りなく無料に近づいていきます。これは、クリエイター殺しに思えます。
しかし、いい面もあるのです。それは、多くの人に作品を読んでもらえるようになること。
出版することは、印税収入のためでなく自分を知ってもらうためのツールになるのでは。 / “Amazonの「電子書籍・定額読み放題」で書籍ビジネス、出版業界はどう変わるのか : まだ東京で消耗してるの?” http://t.co/joByPnrhh5
— タクスズキ@プロブロガー (@TwinTKchan) 2014年7月22日
@TwinTKchan 「読み放題の導入によって、単品の販売動向にも変化が。キンドルストアでは、読み放題で読まれた本も一冊売れたものとしてランキングに反映。
つまり、読み放題で話題になった過去の作品が、ランキング上位に登場して注目されるように」←読み放題を広告と捉えるといいね。
— タクスズキ@プロブロガー (@TwinTKchan) 2016年8月2日
このように、ほぼ無料で出すことによって、広告にもなり、今まで読まれなかったコンテンツが売れ出す、なんてことも可能なわけですよ。
なので、この辺は経過を見ながら時代に合った対策をとっていくと良いでしょう。
リッチな本を作れる人が強い
ここまで書いてきたことから、もう紙は終わるの?なんてことを思った方もいるはず。
しかし、それはあり得ません。今後、紙の本は雑貨、アンティークとして生き残っていくんですよ。
これからの出版社の稼ぎ方>「デジタルの部分だけで制作費などを回収してしまって、本はリッチにコンテンツを楽しみたい人に向けた「ハイクラス用の商品」にしていきたいんです。「本って3000円はして、家に飾るものでしょ」という感じで」 https://t.co/4w1aIgLNnq
— タクスズキ@プロブロガー (@TwinTKchan) 2016年8月6日
このように、今まで本として消費されていたものを雑貨としてデザインできる人材も求められていくでしょうね。
この辺は、装丁デザイナーさんにとっておいしい分野になっていくはず。
僕の本も読み放題になってます
紹介してきたように、今後、書籍の読まれ方、お金の流れ方は確実に変わります。
なので、書籍に関わる方はこれまでのやり方にとらわれず、時代に合った方法をとっていかなければなりませんね。編集者の役割は変わります。確実に。
と、そんなことをKindle Unlimitedから感じたのでした。
なお、僕が出してる電子書籍も読み放題になってるので、この機会に読んでみてください。そして、レビューも書いてみてください。
ホントだ!「サラリーマンが副業ブログで35万円稼ぐまでの奮闘記」も読み放題の対象になってる。著者に連絡とかこないのね、なんか複雑。ちなみに、共著の #レールの外 も読み放題です。 https://t.co/7qbfrMell4 pic.twitter.com/NqO3dOJkrm
— タクスズキ@プロブロガー (@TwinTKchan) 2016年8月3日
一番嬉しいのは、noteから買ってもらうことなので、優しい方はそちらからどうぞw
参照:【随時更新】note有料マガジン「サラリーマンが副業ブログで35万稼ぐまでの奮闘記」のタイトルを全て公開します
ではまた!(提供:らふらく(@TwinTKchan))
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