本日もM-1予選レビュー。ものすごい男女コンビの紹介です。これまでの「女性をいじることで笑いを生んでいた男女漫才」とは違った形を作り上げた2組。
彼らの斬新なスタイルと共に、こうした形が生まれた原因を社会情勢から考察していきます。
それでは、まず「相席スタート」から紹介を。山添さん(男)と山崎ケイさん(女)によるコンビです。
山崎さんのモテテクに揺さぶられる山添さん
山崎さんは、「アメトーーク!!」に「イイ女の雰囲気出してる芸人」として出演。
他にも、いろんなところに露出しているので、顔を知っている人も多いはず。ただし、ネタを見たことがある人は少ないのではないでしょうか。
そのネタというのが、男女でしかできないもの。フォーマットは、山崎さんが「実はモテるよ。モテテク持ってるよ」と口火を切り、それに対し、山添さんが「ほんまかいな。んじゃ試してみて」とコントに入っていくもの。
その設定は、合コン、部屋でのやり取りなど。コント前は、山崎さんがモテない設定になっているが、コントで利用されるテクニックに山添さんが虜になってしまう。
山崎さんの独特な声とともに発せられる一言ボケのようなテクニックもさることながら、山添さんの「惚れてまうやろ」よろしくな大声フレーズにも笑ってしまいます。
ネタの選定から、コントまで男女コンビでしか成立しない構成で作られた漫才。これまでにないタイプで非常に面白いんです。
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男女コンビが背負う十字架をネタに
続いて、「ヨコハマホームラン」。おぎさん(女)と脇田さん(男)によるコンビ。
M-1予選で初めて知ったのですが、彼らの漫才がすごかった。特に3回戦と準々決勝のネタが。
ざっくり言ってしまえば、コントに入る前の言葉のあやで爆笑を取り続ける漫才。「やらして」から発生するお互いの思い違いがずっと続くんです。
冒頭で脇田さんが「こういうコントをやってみたいから、おぎちゃん、この役をやってくれる?」と依頼する。それに対して、おぎさんが「嫌だ」という。
そのラリーが何度か続いて、脇田さんが折れないおぎさんに対して「やらしてよ!一生のお願い」といった感じで、誤解を生むような言葉をかけるんです。
もちろん、ここでの「やらして」は「コントを漫才の練習のためにやらせてくれ」ですが、観客からしたら「え、それマズイこと言ってない?笑」となるわけです。
そんな問答が繰り返されていくうちに、「やらして」にマズイ言葉が付け加えられ、脇田さんがどうしようもないゲス野郎に見えてくるんです。もちろん、脇田さんに悪意はありません。
途中で、脇田さんが「これが、男女コンビの十字架か!」と突っ込むように、男女の関係における「やらせて」をうまく使った漫才なんですよね。
これも、男女コンビでしか成り立たないわけで、その関係性をうまく使っているんです。
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これまでは、女性の容姿をいじるのが一般的だったが、
紹介した2組のような男女コンビにおける漫才って珍しいんですよね。これまでは、女性の容姿をいじって漫才を進めるのが一般的でした。
南海キャンディーズにおける「しずちゃんのモンスター性」だったり、「ゆにばーす」のはらさんだったり。言わば、「女性として認識せずに」漫才を進めていたんです。
しかし、2組は違います。女性芸人である相方を「女性」と見た上で進めているんですね。ここが、従来の男女漫才との相違点なのです。
「男尊女卑の終わり」と「女性の社会進出」が漫才に波及
こうして、女性が卑下されずに、女性として笑いを取るスタイルが確立されたのって、昨今の「バリキャリ女子(職場で活躍する女性)」の存在が関係していると思うんですよ。
最近は、昔と違って女性も管理職につき、男性と変わらずに仕事をするようになりました。これが漫才にも波及して、いじる素材として扱われていた女性が、自ら笑いを取る存在として認識されるようになったのです。
職場同様、女性が蔑視されることなく、プレイヤーとして認識される現象がお笑いの世界にも起こっているんですね。
このように、男女コンビで新しい形が生まれた背景には、社会情勢も関係しているのかな、なんて意識の高い考察を入れたところで、記事を終わらせていただきます。
ではまた!(提供:らふらく^^(@TwinTKchan))
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「メイプル超合金の爆発力」